初めまして!
理学療法士の西嶋です!
理学療法士や作業療法士(PT/OT)、看護師、介護士の方で、こんな悩みありませんか?
・年収がなかなか上がらない
・夫婦共働きだが、金銭的に現状厳しい
・副業しようと思っているが、何をしていいかわからない
・最近投資がブームになっているが、難しくてわからない
こういった悩みの方は多いのではないでしょうか?
ちなみに筆者も理学療法士として10年ほど働き、3年前まではずっと悩みに悩んでおりました。
ただ、仕事や資産形成がうまくいかないことには法則性だったり、ルールが存在します。
知らないままでは変わりませんが、知っていることでいろんな選択肢が生まれ、思い描いていた生活像やライフスタイルに少しでも近づくヒントになり得ます。
読んでいる方の人生が、少しでも豊かになるように詳しく解説していきます!
よろしくにゃ!
目次
理学療法士・作業療法士、看護師、介護士が知っておくべきお金に関する3つのこと
その① 全国平均と比較し、医療介護職の平均年収は低い傾向
ご自身の職種の平均年収や異業種の平均年収をご存知でしょうか?
ご自身が「戦っているフィールド」の相場を知ることは非常に重要です!
全国平均年収
それでは全国の平均年収を見てみましょう。
平均給与461万(男性567万、女性280万)の内訳を見ると、平均給料・手当ては380万円(男性465万円、女性235万円)で、平均賞与は81万円(男性102万円、女性45万円)となっている
国税庁.統計情報.平均給与.Ⅱ1年を通じて勤務した給与所得者.2023
ご自身と比較していかがでしょうか?
男女差があるのは女性は子育てやパートなどの勤務体制も影響しています。
医療介護職の平均年収
全国平均年収を解説しましたが、次に理学療法士・作業療法士、看護師、介護士の平均年収をご紹介します。
全国平均とご自身の収入を比較してみましょう。
理学療法士・作業療法士(PT・OT)の平均年収
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると理学療法士および作業療法士の平均年収は426.5万円となっています。
平均月収は29.6万円で、平均年間賞与は71.3万円との報告があります。同じ医療職である看護師、薬剤師よりやや低い額となります。
全国平均と同じく女性はキャリア途中で一度退職(結婚、出産等)する方が多いことが理由と考えられます。
全国平均461万円と比較しやや低い額となっており、更に平均年齢33.5歳と若い方が多く、40歳以下の割合は約72%となっています。
今後管理職や役職に就く場合は競争率が高いと言えるため、資格取得や病院・施設内での人望を高めていく必要があります。
セラピスト数が増えて、需要<供給のバランスが崩れかけてるから、今後給与が上がりづらくなりそうだね
その通り!
自分の方向性を知るためにも、現状を把握しておく必要がありそうですね!
①平均年収約426万円(平均年齢33.5歳)
②「需要数<供給数」の均衡が崩れかけており、今後のキャリアを考えて行動する必要あり
↓理学療法士・作業療法士の年収についての詳しい記事はこちらから
看護師の平均年収
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると看護師の平均年収は約499万円(平均年齢約41歳)で、全国平均461万円と比較しやや高い傾向と言えます。
また女性の職種としては高い傾向にありますが、平均年収の占める夜勤手当の割合は約8〜12%と高い傾向です。
また資格により年収も異なり、准看護師(407万円)<保健師(481万円)<助産師(554万円)となっています。
医療職では割と給与が高いんだね
夜勤の場合は生活リズムを調整したり、子育て世帯は配偶者との休みの調整をしたりと、大変なことも多いのでご自身のライフスタイルに合わせることが大切かと思います。
・看護師 全国平均年収499万円(平均年齢41歳)
・資格により年収は異なる
・給与の8〜12%は夜勤手当となり、ワークバランスの調整が必要
↓詳しい看護師の記事はこちらから
介護士の平均年収
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査の結果の概況」によると、介護職員とホームヘルパーは約360万円前後、キャリア職のケアマネージャーは約400万円前後となっています。重労働が多い介護職の年収水準は高いとは言えない状況です。
療法士、看護師同様に結婚・出産を伴う女性の平均年収は低くなる傾向にあります。
夜勤のある病院や介護施設といった入所施設では、夜勤手当があるため在宅サービスで働く方に比べると給与が上がりやすい傾向です。
またケアマネージャーの資格を取得し、キャリアアップを図ることも年収を上げる一つの手と言えるでしょう。
現在、介護職の人手不足が問題となっており、政府としても待遇改善・年収アップの制度を導入しています(介護職員処遇改善、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算)。今後も新たな制度の導入により、少しずつ年収も上がる可能性があります。
政府の新たな待遇改善の加算を導入する可能性が高いからチェックしておかないとね!
① 介護職全体平均年収 約360〜398万円
② 夜勤手当や資格の有無により、給与アップが見込める
↓詳しい介護士の記事はこちらから
その② 給料が上がりにくい時代背景
これまで医療介護職と限定的に解説しましたが、日本という国全体としては世界と比較し労働賃金はどう変化しているのか解説してみます。
世界的なインフレの影響で、私たちの身の回りのものの価格高騰が続いています。にも関わらず給与が上がらないことで不安を抱えている方が多いとことでしょう。日本は1990年代のバブル崩壊後は経済は低迷。「失われた30年」と言われる中で、実際に日本は世界と比較し経済状況はどうなのでしょうか。
OECD(協力開発協力機構)のデータをもとに解説していきます。
日本経済成長率はG7中 最下位
●OECD 各国平均賃金(2021年・ドル換算)
最も賃金が高かったのはアメリカ(緑棒グラフ)で74,738ドル(約880万円)でした。OECDの平均(黒棒グラフ)は51,607ドル(約612万円)に対し、日本(黄色棒グラフ)は平均より少ない39,711ドル(約477万円)となっています。
主要7カ国(G7)においても最下位となっているのが現状です。
日本の平均賃金の推移
●G7各国の平均賃金の推移(1990〜2021年・ドル建て)
日本は1990年当時は英国やフランスよりも高水準でした。しかし30年後の2021年と比べると日本の平均賃金はわずか3,000ドル(約36万円)しか増えていません。アメリカに関しては同じ30年間で27,000ドル(約324万円)も増えていることがわかります。その他カナダ、ドイツ、フランスも10,000ドル(約120万円)以上増えている状態です。
それだけ日本の経済状況は停滞していると言えるでしょう。
給与が上がらない理由
企業による人件費削減
1990年代前半にバブル崩壊により、業績が悪化した企業は人件費削減のため給与を下げました。特に2000年代以降に労働者派遣法が改正され、非正規雇用者の人数が大幅に増加した影響が大きいと言われています。
その結果全体の平均賃金も下がり、さらには日本全体の平均賃金の停滞に拍車をかけてしまったと言えます。
少子高齢化
みなさんもご存知の通り日本は少子高齢化が急速に進んでいます。財務省によると2022年時点で19歳以下人口16%、65歳以上人口29%です。2065年には19歳以下人口14%、65歳以上人口38%とさらに少子高齢化が進んでいくと予測されています。
世界的にみても人口が増えているアメリカやインド、発展途上国のアフリカは経済成長はどんどん加速する中で、日本は働く人口が少ないため外国人労働者を増やすなどの施策を行わないと日本経済はますます低迷していくかもしれません。
まとめると
①労働者派遣法による
非正規雇用者数増加
②少子高齢化による生産人口数減少
→平均賃金の停滞・日本経済の停滞
→給料が上がりにくくなっている
だから転職や副業、資産形成をして賢く生きる必要があるんだね!
本業一本も大事ですが、副業などで入ってくる収入源がいくつかある方がリスクを下げることにつながります。
興味がある方はできる範囲で副業を始めてみてもいいかもですね!
副業に関する記事はこちらからご覧ください。
→副業についての記事
その③老後資金の不安
我々働いている世代の不安としてあるのが「老後資金の不安」だと思います。特に2019年金融庁の審議会市場ワーキング・グループは、老後30年間で約2000万円不足すると発表しました。
さまざまなメディアにも取り上げられたため「老後2000万円問題」として知っている方が多いと思います。この報告書では老後の年数20年で1300万円、30年で約2000万円と紹介されています。
老後に2000万円…
聞くとゾッとするね!
平均的に言うと2000万円必要だけど、ライフスタイルは人それぞれなので一概にそうとは限らないよ。
ただ老後のためにも備えるに越したことはないから、2000万円問題の根拠と老後の収入と支出などを紹介しますね。
老後2,000万円問題の根拠
2019年の報告書では、2017年の高齢夫婦無職世帯の平均値を使って約2000万円と言う金額を算出していますが、平均値だけを取り上げて、すべての世帯に当てはまるような間違った解釈がされています。
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要になる。
出展:金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
ここで言う報告の差している図がこちらになります。
高齢夫婦無職世帯の実収入は平均月209,298円、高齢夫婦無職世帯の実支出は平均月263,718円となり、平均赤字額月54,520円
約55,000円 × 12ヶ月×30年 =約2000万円
といった計算方法になります。
ここまでを読んでいくと「老後2000万円も不足するのか」と思いがちですが、あくまでも平均値からの算出であるためどの家庭も当てはまるとは限らないので、そこは頭の片隅に入れておく必要があります。
ただし、様々な家庭状況も踏まえても必ず必要になってくるのが老後資金。どんな収入があり、どんな支出があるのかを解説していきます。
老後に得られる資金
①公的年金
年金って実際のところ将来いくらもらえるんだろう?
仕組みもややこしいよね
年金は「2階建て構造」になっているよ!
国民年金と厚生年金は、よく例えとして「2階建て構造」と呼ばれています。
会社員もしくは公務員である方は、国民年金及び厚生年金の両方の受給資格があります。
受給額の目安として、令和2年12月にまとめられた「令和元年度厚生年金保険、国民年金事業の概況」に記載されている公的年金の平均受給額を見ていきます。
令和元年度時点では国民が受けとれる年金受給額は以下のようになっています。
年金受給額の平均
老齢基礎年金の平均受給額
→月額56,049円
老齢厚生年金と合計した額
→平均月額146,162円
ただし、今後少子高齢化が進んでいけば生産人口(20〜60歳)は減っていくため、国の財政も厳しくなるのを予想すると全くなくなることはないと思いますが、公的年金額の減額は避けられないと考えられます。
そのため私的年金や個人年金等に加入している方も増えてきています。ご自身の老後のライフプラン計画からいくら必要か、今のうちから考えて動いておいた方が良いかもしれません。
②退職金
次に老後に入る資産として退職金があげられます。
・企業規模
・学歴、資格
・企業への貢献度
・勤続年数
などで大きく変動することは念頭に入れておいた方がいいです。
一般的に言われている計算方法としては
基本給 × 勤続年数 × 給付率 = 退職金
となります。
給付率は、自己都合退職もしくは会社都合退職など理由により変動しますが、60〜70%が相場のようです。
例として①基本給20万円の方が、10年で自己都合退職した場合
基本給20万円 × 勤続年数10年 × 60%
= 120万円
例として②基本給30万の方が、20年で自己都合退職した場合
基本給30万円 × 勤続年数20年 × 60%
= 360万円
となります。基本給の額や勤続年数によって変動する計算方法となりますので参考にしてみてください。
学歴・職種別の退職金 平均額
厚生労働省「就労条件総合調査/平成30年就労条件総合調査 退職給付の支給実態」
医療業界の平均相場は30年勤務の場合、200〜1,000万と勤務先の規模や勤務地などにより差はありますが、全国平均と比べても低い傾向にあります。上の図に示す通り他職種高卒の方と比較しても低くなることが予想されます。
そのため退職金が高い職種を選びたい方は、公務員(国立など)や企業病院への転職をお勧めします。勤続年数30年以上で平均1500万〜2000万円と高い傾向にあります。
老後得られる資金 まとめ
老後得られる資金として①年金、②退職金をお伝えしてきましたが、医療福祉業界の水準は平均給与が低いことや退職金額が低いこともあり、「ある程度豊かな老後を暮らしたい」と言う方は何かしらの資金の対策が必要となってきます。
年金でもお伝えしたように老後の資金として不足している分を
確定拠出年金(iDeCo)
つみたてNISAなど
を活用し長期的投資として運用を行い、長期的な対策が老後を左右する賢い選択と言えるでしょう。
資産運用の記事はこちらからご参照ください。
老後必要になる支出
では次に老後必要になる支出としてどんなものがあるのか。代表的なものを挙げていきます。
①医療費
②介護費
③冠婚葬祭費
④生活費(住宅費等)
医療費
「令和2年医療費動向」表2-11人当たり医療費の推移によると、75歳以上の一人あたりの年間医療費は平均約92万円、月額約7.7万円です。毎月これだけの費用がかかると、家計にも負担がかかってくるのは言うまでもありません。
介護費
年を重ねても健康な状態を過ごすことができれば良いのですが、現在健康寿命約70歳となっており、平均寿命との差は10年以上あり介護が必要になってくるケースもあるでしょう。
「2021年(令和3年)年度生命保険に関する全国実態調査」P107 によると、一時的にかかる費用の合計は2021年で約74万円となっています。
また月々支払っている介護費用で言えば、月平均約8.3万円となります。月々支払う介護費用は2009年の7.3万円から上昇傾向にあります。同調査によると、平均的な介護期間は5年1ヶ月となっています。
つまり仮に5年1ヶ月の間介護費用を支払うとすると、約506万円を確保しておかなければならない計算となります。
冠婚葬祭費
老後の費用として代表的なものに葬儀にかかる費用です。亡くなった後に配偶者や子供、親戚にお金の面で心配や苦労をさせないよう生きているうちに葬儀プランを決めておくと言う方も増えてきています。
「安心葬儀」のサイトによると、葬儀費用の全国平均約143.1万円となっています。実際のところ、私の父の場合は役職についていたことと田舎だったこともあり、約200万円ほどかかりました。
一般的には葬儀の規模や地域による差があり、一般葬だと約100万円前後、家族葬だと約70万円前後となるため、夫婦二人分であれば約200万円は必要と考えられます。
また不定期にかかる費用として、子供や孫の進学や結婚等のお祝い金などの準備も必要になります。
結婚祝いや新築祝い、出産祝い、孫の入学祝いや卒業祝い、お年玉などまだまだあげるとキリがないですが、トータルでも数百万程度は必要ではないでしょうか。
子供や孫のことを考えると少しでもお祝いしてあげたいと思うおじいちゃんおばあちゃん世代が多いと思いますので、予備貯蓄しておく必要がありそうです。
生活費(住宅費、住宅修繕費)
食費や水道光熱費、保険料、交通費、通信費などが挙げられますが、現在子供のいる世帯であれば老後は夫婦二人生活であるため、子育ての時期よりは少なくなる傾向にあります。しかしながら生活レベルによりますが「数十万〜数百万×老後の年数」は必要です。
また現在持ち家の方は修繕費が必要になります。キッチンや浴室、トイレなどの水回りのほか外壁や屋根などの修繕など、全て修繕するとなると数百万程度はかかると予測できます。
以上の老後必要になる支出をあげてきました。ざっとまとめると
・医療費 約92万円×二人
=約184万円
・介護費 約74万円×5年1ヶ月×二人
=約1,012万円
・冠婚葬祭費 約100万円×二人
=約200万円
・生活費(住宅費、住宅修繕費、食費等)
=おそらく数百万円〜数千万
全て合わせても約1400万円+生活費(数百万円〜数千万)となります。病気(寿命)や子供の数・生活の豊かさにより変わりますが、2,000万円以上は必要なことが多いのではないでしょうか。
数値はおおよその概算であり、全ての人がこの額必要ではないものの、必要になったときにこのくらいの額必要なのかと覚えておくだけでも今後のライフプランや貯金や資産運用などに活用できる知識となります。
ご自身の現在の収入と支出から考え、年金や退職金まで計算してみてください。
まとめ
理学療法士、作業療法士、看護師、介護士が知っておくべきお金に関する3つのこととして
まとめ
①全国平均と比較し、理学療法士・作業療法士・介護士は年収が低い傾向であり、業種としては給与が上がりにくい
②日本経済の停滞や給与が上がりにくい時代背景を考え、キャリア・プランをどうするか考えておく必要がある
③老後の貯金、得られる資金や必要になる支出を計算し、今のうちから準備しておくべきである
いかがだったでしょうか?
この記事で
「賢く論理的に働きたい」
「ならどう対策したらいいのか」
と思われた方は後編の記事で紹介していますので、気になる方はご覧ください。
→後編の記事はこちらからご覧ください。